【マニフェスト一本勝負!-7】民主党農政をただす!
今回の【マニフェスト一本勝負!】は、民主党マニフェストの中から、農政公約に関する部分を検証したいと思います。
まず、民主党は07年、国会に「農業者戸別所得保障法案」を国会に提出、参議院で民主党を中心とする野党の賛成多数で可決しましたが、衆議院の審議において同法案の問題点が浮き彫りとなり、否決され廃案となりました。戸別所得保障というのは、農畜産物の販売価格と生産費の価格の差額を補填するもので、例えば60キロ当たり1万2千円ほど平均でかかっている米の生産費に対して、農家が農協を通して販売してみたところ、手元に返ってきた手取り収入が1万円しかなかった場合、その差額の2千円分を政府が補填するというものです。
戸別所得保障制度については、必要とする財源が1.4兆円(私の試算では2兆円以上)と見積もられており、その財源の確保の問題が指摘されていますが、他にもこの制度に関する問題点は数多くあります。以下に見ていきたいと思います。
皆様にぜひご理解いただきたいのは、この「戸別所得保障」制度それ自体、これまで政府が行ってきた農業者の方への支援策とほとんど変わる点がないということです。つまり、戸別所得保障制度とは、政府が現行で実施している「産地づくり交付金」「稲作・畑作経営所得安定対策」「農地・水・環境保全向上対策」「中山間地直接払い」の各制度を1つに寄せ集めただけに過ぎません。制度の仕組みや具体的な農業者の方に対する手当ての中身も、ことごとく酷似しています(各制度の説明については、【政策BANK-7】の記事をご参照頂ければと思います)。
しかも、民主党は従来、農業者戸別所得保障を実施するに当り、米の生産調整は廃止すると言明していました。これが、参院選で民主党が農村部の支持を受けた大きな要因であると専門家の間では指摘されてきました。それが、いざ国会審議の場で農業者戸別所得保障法案の資料を目にしてみると、所得保障の要件には「行政から割り当てられる生産目標数量を守ること」と書いてあるではありませんか(!!)。これを生産調整と言わずして、何と言うのでしょうか。これでは、国民に対する背信行為と言われても仕方ないでしょう。
また、所得保障といいながら、その補填水準については全国標準の生産費水準までであり、純利益としての農業所得を保証するものでは決してありません。米の生産コストが保証されても、肝心の農業者の方々の生活費が営農で賄えないのでは、とても「所得保障」と呼べるものではないでしょう。(「子ども手当て月額26,000円」しかり、国民の皆さんを欺くワンフレーズは天才的ですね…)
これまで私たち与党は、WTOでの農業分野の貿易自由化の流れに対して「守るべきところは守り、攻めるところは攻める」という姿勢で攻めの農政を展開してまいりました。具体的には、日本の将来の農業を担っていただくことになる中核的な農業者・担い手農家と位置づけられる方々に対して、限りある農業予算を重点的に配分する事で強力に支援し、農業経営体質の抜本的な改善を図ってまいりました。また、中山間地での営農は生産コストが膨大になる一方で、水源涵養・景観保全・里山保全機能などの多面的機能が認められる事に配慮し、こうした農業生産条件不利地域に対しては、EUような直接払い制度を実施してまいりました。特に米の生産調整に関しては、現状の数ある問題点を踏まえ、生産調整の維持・強化を基本としつつ、来年3月を目標に見直されている食料・農業・農村基本計画の中において制度のより良い改善策を提案していきたいと考えております。
「農業の6次産業化」に関しても、民主党はただの後追いの掛け声に過ぎません。政府・与党では後で申し上げますように、既に農業の6次産業化を農林水産省・経済産業省などが中心となって一体的に進めています。
このように、民主党農政は単なる選挙目当ての、空虚なワンフレーズに過ぎません。この政党に、日本の食料・農業・農村の未来を託す事はできません。儲かる農業を、かっこいい農業を、自慢できる農業のモデルを日本から発信できるよう、全力を尽くしてまいります。
(参照資料)民主党政権公約2009(一部抜粋)
31.戸別所得補償制度で農山漁村を再生する
【政策目的】
○農山漁村を6次産業化(生産・加工・流通までを一体的に担う)し、活性化する。
○主要穀物等では完全自給をめざす。
○小規模経営の農家を含めて農業の継続を可能とし、農村環境を維持する。
○国土保全、水源かん養、水質浄化、温暖化ガス吸収など多面的な機能を有する農山漁村を再生する。
【具体策】
○農畜産物の販売価格と生産費の差額を基本とする「戸別所得補償制度」を販
売農家に実施する。
○所得補償制度では規模、品質、環境保全、主食用米からの転作等に応じた加算を行う。
○畜産・酪農業、漁業に対しても、農業の仕組みを基本として、所得補償制度を導入する。
○間伐等の森林整備を実施するために必要な費用を森林所有者に交付する「森林管理・環境保全直接支払制度」を導入する。
【所要額】
1.4 兆円程度